PK ピーケイ [DVD評価]
MOVIE評価(75点)
出演:アーミル・カーン、アヌシュカ・シャルマ、スシャント・シン・ラージプート、サンジャイ・ダット、サウラブ・シュクラ
監督:ラージクマール・ヒラニ
本編:153分
2014年(インド)
【「創造主(愛)」と「人間が創った神(嘘)」】
『きっと、うまくいく』のラージクマール・ヒラニ監督とアーミル・カーンが再びタッグを組んだ異色のヒューマンドラマ。
地球に降り立った宇宙人の純粋な視点から観た地球の宗教観とは? そんな重たいテーマを風刺の効いたコメディタッチで描いた作品だ。普通に描けば硬くなるテーマをきちんとエンターテインメント映画に仕上げている手腕はお見事で、シナリオとしてもよくできた映画だった。
「PK」とはインドで「よっぱらい」のことを意味し、世間の常識が通用しない主人公を皮肉った呼び名であるのだが、その宇宙人PKもまた、世間の凝り固まった常識に対し、ズケズケと皮肉を述べる。そのあまりの正論に思わずニンマリさせられる(笑)。
各宗教の矛盾点を鋭く突いているということもあり、本作を上映させない国(地域)もあったそうで、なるほどなと考えさせられる。日本での上映が遅くなったのも同じような理由だったりして(^_^;)。
ただ、本作は、神や宗教そのものを否定した映画ではない。インドでそんな映画を作れば本当に上映禁止になってしまう(笑)。
本作は、形骸化し商売と化している現代の邪な宗教観を皮肉っているだけなので、これを上映禁止にする国(地域)というのは“痛いところを突かれた”という意識を持っているということなのだろうと思う。
PKはこう言う。「世界(地球)には2つの神がいる」と。「創造主」と「人間が創った神」という2つの神がいると。そして現代の多くの人間が信仰の対象としている神は後者の「人間が創った神」の方だと。我々が信仰の対象とすべきは「創造主」としての神であると。
本作のキーワードは「かけ間違い」。恋愛の「かけ間違い」というプロローグを伏線として描き、本筋では宗教的な「かけ間違い」を対比として描く、そして最後には両者の「かけ間違い」を融合させる。実に洒落の効いたニクい演出だ。
純粋な宇宙人PKは地球で「嘘」を学び、ヒロインはPKから「愛」を教えられる。その「嘘」が何で、「愛」が何であったのかという答えを述べるような邪推なことはしない。あなたの目と心でその答えを見つけてほしい。
重たいテーマを描いた作品であっても本作の基本は恋愛映画なので、特に女性にはオススメだ。クライマックスからラストにかけての演出は、女性であれば涙腺が崩壊すること必至。2時間半の長編だが、「泣ける映画」が観たい人は、是非、最後まで観てほしいと思う。当ブログを読んでいる女性はあまりいないかもしれませんが(笑)。
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