沈黙 -サイレンス- [DVD評価]

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MOVIE評価(50点)

出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、窪塚洋介、浅野忠信、加瀬 亮、イッセー尾形、リーアム・ニーソン
監督:マーティン・スコセッシ
本編:161分
2016年(アメリカ)

【「信仰」を描き切れていない人間ドラマ】

 遠藤周作の小説『沈黙』をマーティン・スコセッシ監督が実写映画化。

 主演のアンドリュー・ガーフィールドは少し前まで『スパイダーマン』を演じていた俳優だが、しばらく見ないうちに、ずいぶんと立派な俳優に成長したなと思えた。

  

 160分もある長編ドラマながら、最後まで退屈することなく観れたのはスコセッシ監督の力量の為せる業か、それとも興味深いテーマであるせいかは分からないが、映画自体はよくできていたと思う。ただ、この映画を観たキリスト教の人達はどう思ったのかが非常に気になる映画だった。

 当時の日本の切支丹(キリシタン)が厳しい弾圧に遭ったということを描いている部分には、溜飲が下がった人も多いのではないかと思えたが、信仰心についてはどうなのか?という部分が疑問に思えた。

 確か、イエス・キリストがゴルゴダの丘で磔になった時も、「生」を取るか、「信仰」を取るかという選択を迫られるシーンがあったと思うが、当然、イエスは後者の「信仰」を選んだ。自分の命よりも大切な信仰を選んだからこそ、現在のキリスト教があると思われるのだが、この映画で描かれていたのは、前者である「生」を選ぶことの方が重要だと言わんばかりだった。

 「踏み絵」を踏むだけで命が助かるなら、自らの心を偽って踏めばいい。しかし、それをせずに死んでいった人達は、なぜ死を選んだのだろうか? この部分に光を当てないことには、信仰を描いたことにはならないのではないか? そんな疑問が感じられた。

 「沈黙」というタイトルからも分かる通り、神は人間の苦しみに対して無慈悲に沈黙されている。そんな意味合いを込めた作品だったのかもしれないが、これでは単なる人間ドラマであって、信仰を描いた映画とは言えないと思う。本作は欧米では不評だったらしいが、その理由が何となく理解できたような気がした。この映画なら中国でも上映できるかもしれない(皮肉)。

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